グレンモーレンジィとは?種類や美味しい飲み方を徹底解説

スコットランドのウイスキーは、各地方に看板となる銘柄が存在します。今回紹介するグレンモーレンジィは、ハイランド地方を代表する伝統的な銘柄。蒸留器、樽、仕込み水に至るまで、ウイスキーに触れる全てにこだわり抜く姿勢を貫いており、ウイスキーファンの間では「完璧すぎるウイスキー」とまで称されるほどのブランドです。そんなグレンモーレンジィについて、今回の記事では徹底的に掘り下げて行きます。

 

【この記事でわかること】

  • グレンモーレンジィの概要
  • グレンモーレンジィの種類
  • グレンモーレンジィのおすすめの飲み方
  • グレンモーレンジィのおすすめのおつまみ

グレンモーレンジィとは?

グレンモーレンジィが完璧すぎるウイスキーと称されるほど愛されるには理由があります。こだわり抜かれた製法。ボトルの種類。多彩な飲み方。そのどれもが、他の銘柄とは一線を画す特徴を有しています。グレンモーレンジィとは一体どのようなウイスキーなのでしょうか。

グレンモーレンジィの特徴

2022年11月、グレンモーレンジィはメイン商品のパッケージを一新しました。そのラベルは、グレンモーレンジィが持つ味わいを視覚的に表しています。

代表的な種類である「オリジナル 10年」を一口含んで始めに感じるのは、柑橘類の爽やかな香りと酸味です。後味はバニラ風味のミルクを思わせる甘さとコク。フィニッシュは再び柑橘のフレッシュな香りが鼻から抜けていきます。バランスの良さとまろやかさが味わいの特徴と言えるでしょう。

その秘密は、スコットランドで最も高さがあるポットスチルにあります。高さは5.14m。成長したキリンを同じだそうです。それだけ高いポットスチルを使用するので、蒸留の際に無駄で重たいアルコールの蒸気がポットスチルの中に残り、旨味と香りの成分だけがウイスキー原酒となります。これもグレンモーレンジィのこだわりの1つです。

グレンモーレンジィの歴史

グレンモーレンジィ蒸留所の設立は1843年にまで遡ります。先述した背の高いポットスチルは創業当初から使用されている特徴ある代物ですが、元々はジンを造っていた蒸留所から払い下げられた中古品でした。

世界への輸出が本格的になったのは1887年以降のことで、ヨーロッパ各地だけでなくアメリカに対しても売り出され、グレンモーレンジィの名前は広がっていくことになります。

その後2度の世界大戦や、周辺環境汚染のリスクなどをくぐり抜けながら、グレンモーレンジィは世界的な評価を高めていくことになります。

現在では本格的なスコッチウイスキーとしてのみならず、様々な飲み方ができる身近なウイスキーとしての側面も見せているなど、新しい歴史を刻み続いている最中です。

グレンモーレンジィの製法

グレンモーレンジィの製法は、ポットスチル以外にも様々な特徴があります。原酒を熟成する樽は、ホワイトオークの木を厳選するところからのこだわりです。完成した樽は、バーボンウイスキーの熟成に一度使わせてからグレンモーレンジィの熟成の為に使用。1つの樽を使う回数も、他のメーカーが3回以上使っているところ、2回までと定めています。

このため、「オリジナル 10年」や「18年」に通じるフレッシュな柑橘の香りが感じられる滑らかな味わいが実現できるのです。使用される水は、私有地内から湧き出る湧水を使用。100年以上の年月をかけて、多分にミネラルを含んだ香水を使うため、ウイスキーに高く評価される深い味わいを与えられるのです。

グレンモーレンジィの評価

グレンモーレンジィに対しては、世界中から高い評価を得ています。例えば「オリジナル 10年」は2022年に開催されたWWA(ワールドウイスキーアワーズ)で金賞を受賞。2021年にはISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)とIWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)で銀賞を受賞しました。

「18年」は2022年のWWAで銀賞。2021年のISCとIWC(インターナショナル・ウイスキー・コンペティション)で金賞を獲得。他の種類のラベルも、多数の受賞歴を有しています。

グレンモーレンジィはウイスキーの作り手に対する評価も高いです。蒸留所の最高責任者であるビル・ラムズデン博士は生化学の博士という側面も持ち、各種コンペティションで受賞したマスターディスティラー・オブ・ザ・イヤーは累計9回という偉業を達成しています。

【ラベル別】グレンモーレンジィの種類・定価

2023年3月現在、グレンモーレンジィ公式サイトにてラインアップされているラベルの種類は、全部で7種類あります。今回はそこに1種類を加えた計8種類について、概要や銘柄についてご紹介します。

グレンモーレンジィ オリジナル10年

出典:グレンモーレンジィ公式サイト

グレンモーレンジィのラベルの中で最もスタンダードな位置づけの種類が、「グレンモーレンジィ オリジナル10年」です。しばしば10年を略してオリジナルを称されることもありますが、ラベルには熟成年数が記載されているので、10年熟成のウイスキーで間違いないでしょう。

味わいの特徴は、何と言っても爽やかな柑橘の香り。時折混ざるカカオ系統の香りと甘さが良いアクセントになり、後味の爽やかさをより引き立てます。世界中からの評価も高く、各コンペティションにて金賞や銀賞の受賞歴もあります。定価は5280円とされていますが、各販売店ではそれよりも幾分か安く売られていることがほとんどです。10年熟成のウイスキーにしては安く手に入るので、これからグレンモーレンジィを飲んでみようという人には特におすすめです。

グレンモーレンジィ シグネット

出典:グレンモーレンジィ公式サイト[/caption]

グレンモーレンジィにおける現行ラインアップで高い注目を浴びている種類が「グレンモーレンジィ シグネット」です。最大の特徴は、チョコ色になるまでローストした大麦麦芽である「チョコレートモルト」を使用した世界初のウイスキーであること。そのためか、ラベルのデザインも大人びた雰囲気を漂わせる見た目となっています。

香りの特徴にもビターチョコレートの風味が色濃く出ていますが、グレンモーレンジィが持つ柑橘類の味わいは健在。両者が折り混ざり、すっきりとした後味へと導きます。世界からの評価についても華々しい受賞歴を有していて、ISCやWWAにて数多くの金賞を獲得しています。

定価は1万9800円とされており、2023年3月現在ではこれを越える価格での出品はあまり見られず、1000円か2000円ほど安く売られているケースが目立ちます。

グレンモーレンジィ ネクタードール 12年

出典:グレンモーレンジィ公式サイト[/caption]

「グレンモーレンジィ ネクタードール 12年」は、ソーテルヌという種類の貴腐ワインに用いた樽で熟成したウイスキーです。現在では「ネクター・ドールソーテルヌカスク」の名も用いられて販売されています。

貴腐ワイン自体も極めて贅沢な製法を用いるワインであり、このネクタードールのラベルもどことなく高級感を思わせる見た目です。香りや味わいの特徴として例えられるレモンタルトの風味。舌の上で開くナッツの味と余韻で感じられる僅かなスパイシーさは、貴腐ワインが与えてくれたものと言えるでしょう。

こちらもISCなどで金賞や銀賞を獲得。世界中で高い評価を集めています。定価は7260円程度と思われ、各ECサイトでも同程度の価格が相場です。

グレンモーレンジィ ラサンタ 12年

出典:グレンモーレンジィ公式サイト[/caption]

「グレンモーレンジィ ラサンタ 12年」は、オロロソとペドロヒメネスという2種類のシェリー酒に用いた樽で熟成したウイスキーです。現在では「ラサンタ 12年 シェリーカスク フィニッシュ」の名も用いられて販売されています。

オリジナルと共に2022年11月にラベルが一新されており、従来よりもシェリーの力強さとリッチさを感じさせます。シェリーカスクのウイスキーらしく、レーズンやナッツを思わせる甘い香りが特徴的。甘酸っぱさやスパイシーさが舌の上に現れた後も、最後までチョコの風味が味わいの芯としてあり続けるものです。

こちらもISCやIWSCなどで金賞や銀賞を獲得。世界中から高い評価を寄せています。定価は6000円程度と思われ、各ECサイトではそれよりも安い、5400円前後が相場です。

エックス バイ グレンモーレンジィ(グレンモーレンジィX)

出典:グレンモーレンジィ公式サイト[/caption]

「エックス バイ グレンモーレンジィ」は、シングルモルトウイスキーの新しい楽しみ方を提案するというコンセプトが特徴的。トワイスアップやストレートといった、スタンダードなシングルモルトウイスキーの飲み方から少し逸れ、ハイボールやカクテルなど違った種類の飲み方を提案する商品です。

Xにはミックス、未知数、組み合わせることの意味が込められており、ラベルも商品名のXをあしらったデザインです。銘柄としての歴史は浅いですが、登場した2021年のISCでは金賞、IWSCでは銀賞を獲得しているなど、ウイスキー単体での評価も得ています。定価は4650円とされていますが、各店舗ではそれよりも数百円程度安く入手できるようです。

グレンモーレンジィ キンタルバン 14年 ルビーポートカスク

出典:グレンモーレンジィ公式サイト[/caption]

「グレンモーレンジィ キンタルバン 14年 ルビーポートカスク」は、ポートワインの一種であるルビーポートを熟成させた樽を用いたウイスキーです。バーボン樽での熟成の後に追加熟成を行うので、グレンモーレンジィの柑橘の香りに赤ワイン特有のビターでフルーティーな香りも感じられます。

オリジナルやラサンタと同様に、2022年11月にラベルの一新を実施。ポートワインの持つ重厚さでより成熟した大人の味わいを表現しているのが特徴です。ISCやIWCでは2年連続で金賞を獲得するなど、世界中から高い評価を集めています。定価は7800円程度とされていますが、各ECサイトではこれよりも1000円程度安い価格帯が相場です。

グレンモーレンジィ 18年

出典:グレンモーレンジィ公式サイト[/caption]

グレンモーレンジィの種類の中で上位に位置づけているのが、「グレンモーレンジィ 18年」です。現行ラインアップにおいては、シグネットを除けばグレンモーレンジィのフラッグシップラベルと言って相違ないでしょう。味わいは甘みとコクが主軸で、グレンモーレンジィの特徴である柑橘の香りは影を潜めています。

終始続く甘みとドライなナッツ風味は、長期熟成ウイスキーの余裕を思わせます。初めに紹介したオリジナルから順当に熟成を重ねた味わいと言い切れるでしょう。世界中からの評価も高く、各コンペティションにて金賞や銀賞の受賞歴も多数あります。定価は1万円前後とされていますが、各販売店ではそれよりも1000円程度高く売られていることがほとんどです。

グレンモーレンジィ 19年

出典:Amazon[/caption]

国内の現行ラインアップには含まれていない種類ですが、「グレンモーレンジィ 18年」よりも最上位に位置しているのがこの「グレンモーレンジィ 19年」です。免税店向けの商品で、並行輸入品を手に入れるしか国内での入手方法はありません。ラベルの見た目は18年に似ていますが、熟成年数を示す数字は違っています。

受賞歴などの対外的な評価については不明点も多いですが、柔らかく滑らかで複雑という味わいの評価は、グレンモーレンジィのウイスキーが辿り着いた味わいの高みであることが窺えます。定価についても確かなことは分かりませんが、国内で流通している物の価格は、概ね1万5000円前後のようです。

グレンモーレンジィのおすすめの飲み方

グレンモーレンジィは全体的に繊細な香りや豊かな風味が特徴ですから、それを存分に感じさせる飲み方がおすすめです。基本的には、ストレートやトワイスアップとなるでしょう。

味わいの変化を楽しみたいなら、ロックも選択肢となります。オリジナル10年やXといった若いラベルは爽やかな風味が特徴ですから、ハイボールのようにすっきり飲める飲み方もおすすめします。

公式サイトではオリジナルとXを用いたカクテルのレシピが公開されており、トニックウォーターで割ったりカクテルのベースにしたりなど、従来のシングルモルトウイスキーの枠から外れた種類の飲み方も楽しめます。

グレンモーレンジィと合うおつまみ

おつまみに関しては、飲み方やラベルによっておすすめは異なります。例えばオリジナルやX、及びそれらを用いたカクテルであれば、どんな食べ物も合わせられます。

食中酒としても楽しみつつ、味が濃いめの料理などとマッチするでしょう。ネクタードールやラサンタのようにワインの風味も思わせるものであれば、ナッツ類のように香りの邪魔をしにくいちょっとした食べ物が合います。

シグネットのように味わいに力強さもある銘柄なら、ビターチョコのようにウイスキーの風味を受け止められる重厚な味わいのおつまみをおすすめします。

まとめ

グレンモーレンジィは、スコッチのシングルモルトウイスキーの中では比較的飲み始めやすい銘柄と言えるでしょう。様々な味わいのラベルが売られているだけでなく、スタンダードな位置づけの商品であればカクテルやハイボールにして楽しむこともできます。

それぞれのラベルで香りが微妙に異なるので、飲み比べを楽しむにもおすすめです。定価よりも大幅に値段が上がっているような商品はないので、シングルモルトウイスキーの入門として試してみてはいかがでしょうか。